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事例35:交通事故後遺症の誤診を見抜く
(解離性障害 → 脳脊髄液減少症)

傷病名

 交通事故後遺症(解離性障害 → 脳脊髄液減少症)

年金の種類  障害基礎年金
等級  2級
請求方法  障害認定日請求(遡及請求)
年齢・性別  59歳・男性

1. 障害認定日が近づいたところで依頼を受けた

概略

 Aさんは追突され、B院に救急搬送。当初は身動き出来ない程の重症でした。相当回復し、2か月後に大病院であるC院に転院し、入院。検査の結果、身体に異常はなく、解離性障害と診断され、精神科に転科。退院後は精神科とリハビリ科に通院。ところが、Aさんはどんどん悪化し、車椅子生活となり、舌の感覚も薄れて、舌がのどを塞ぐから椅子に座ったまま寝るようにと指示されている等々、不思議な話でした。

2. 解離性障害との診断に不信

診断書作成の依頼

 障害の状態から、明らかに1級です。受診日に一緒に行き、主治医に、「交通事故後遺症として肢体の障害用の診断書を書いてください。」とお願いしました。すると、医師は、「解離性障害だから精神の障害用の診断書しか書けません。」とー。話せば話すほど納得できなくて、診断書用紙を返してもらい、帰りました。また、大量の薬に仰天しました。

Aさんに小職の思いをぶつける

 Aさんに、アルプスの少女ハイジのクララの話をして、解離性障害は誤診と思われると説得しました。しかし、一介の社労士より医師を信じるのは当然です。それでも説得しました。すると、「どうしたらいいのですか?」とー。「小職は障害年金専門で、何人もの方を見てきています。症状から脳脊髄液減少症が疑われるので、S病院のT先生の予約を取ってください。」とお願いし、D院で紹介状を書いて頂く等、着々と準備しました。

 一方、認定日から3か月以内の診断書は必要です。C院リハビリ科で交通事故後遺症として診断書を作成して頂きました。ところが、『⑳解離性障害と診断されている』と書かれてしまいました。このままでは出せません。

3. 予感的中、脳脊髄液減少症と診断

 Aさんは、「脳脊髄液減少症と診断されたらどうしよう。」と不安がるので、小職は、「逆に、そう診断されたら治療法があるのだから、ラッキーと思いますよ。」と申しました。

 T先生の診断は、重度の脳脊髄液減少症。C院は何故これを見落としたのか、とあきれておられました。

裁定請求に至る

 本来なら、認定日から3か月までの診断、申立書内容で認定日請求するところ、解離性障害と書かれていたので、T先生の「脳脊髄液減少症である」との一筆を添えて、病歴申立書にも記載し、やっと認定日から1年以内に裁定請求をしました。当然、1級です。

後日談

1.ブラッドパッチが交通事故から2年後であったので、一部の神経が回復不能とのこと。しかし、杖で歩けるようになり、耳鳴りも消えました。これが大きいそうです。

 

2.解離性障害では、損保は医療費のみしか出ません。介護費用、生活費等々に困るので、解離性障害は誤診であるとの訴訟で、やっと解決しました。

 

3.さらに、C院に対して誤診であるとの訴えをしており、これから本番だそうです。一社労士が気付くことを、何故、大病院が気付かなかったのでしょう。

担当社労士 K.S(東京都)

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